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春の暖かい陽が窓から差し込む、休日の自宅。
俺、岡崎竜一の起床である。
「よく寝た…。」
そうぼやき時計に目をやると、俺はもう一気に目が覚醒した。
普段大学だのバイトだので忙しい俺は二週間ほど前から、やっとの休日に付き合って二年の彼女と約束があったのだ。
家から徒歩10分の地点にある最寄りの駅に、12時に待ち合わせの予定。
そんでもって現在の時刻はと言うと、11時47分。
…死んだ。
こ ろ さ れ る
「…うぉぉぉぉぉ!!」
寝起きの声で無駄に叫びながらも、支度をしているにも関わらず暴れているだけの様に見えるほど急いだ。
携帯、財布…持った!
朝飯!?いるか!!
髪型!?なんとかなる!
歯磨き!?おお、それ重要だよ。
洗面所で鏡と向き合い笑顔で口内を爽やかにする。
普段のペースで。
俺はもう諦めていた。
「…メールで連絡くらいしておこう。」
死んだ魚の様な目で呟き、携帯のメール画面を開き遅れることと、謝罪の一言を打ち込む。
送信後直ぐに返信があり、確認すると
『10分』
と、一言だけ。
このとき既に、待ち合わせの時間を五分過ぎていた。
そして、重要たる内容の意味は
『10分だけ待ってやる。』
俺はもう家を飛び出した。
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