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(もう……疲れた……。……ここはなんて死んだ世界なんだ……)
朧気ながらもまだ色は識別できるが、目の焦点はグルグルと動き回る。
そして目の前の地面さえもぼやけ始めた。
(……ああ、ようやく……この世界とおさらばか。……どれだけ待ち望んでいたことか……これでやっと、安らぎの孤独が……手に入る)
少年は見えない何かに惹かれるように手を伸ばす。
だが、当然のごとくその手は空を切った。
行き場をなくした手は地面にパタッと落ちる。
(決して……良いとは言えない人生だったな……。……異世界……もし本当にあるのなら……そこは平和なのだろうか……)
そしていよいよ命の灯火が消えようとし、光を遮断する瞼が目に覆い被さる。
途端に闇に完全に包まれた気分になりどことなく少年は空に浮かんでいるような気分になった。
(そんな世界なら……行きたかったな……。いや……)
「『行きたい』、な……」
最後の願いを呟き、少年は暗闇へと意識を手放した。
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