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幻想郷、人里の9代目御阿礼の子、稗田阿求の住む屋敷。
その中で当の本人である阿求が筆を手に取り、御阿礼の子が編集する幻想郷縁起に新たに何かを綴っていた。
筆は留まることを知らず次々に文字が刻まれていく。
だが、時々ピタリと止まり何かを思考するように阿求は右手の人差し指を顎にあてる。
そして少し間を置いて再び筆を動かし始める。
そんな動作が何度も繰り返され、およそ1時間程たったところで筆をしまい始める。
どうやら幻想郷縁起の編集を終えたようで、阿求はふうっと息を吐き足を崩す。
阿求「……今日はこんなところですかね」
千年も前から初代御阿礼の子、稗田阿一から作成されてきた幻想郷縁起。
今でこそ幻想郷の平和な日常が綴られているが、当初は妖怪に関する情報を後世に残すために作成されたものである。
しかし、長い時を経て博麗大結界が出来てから幻想郷は外界から隔離され、『殺さずして力の均衡を』を目的とした決闘―――スペルカードルールができた。
これは現博麗の巫女である博麗霊夢が妖怪とともに思案したもので、これによって妖怪と人間の争いもなく力の均衡も守られている平和な世界が確立した。
そのため、現在幻想郷縁起を作成するということの本来の意味を失っているが、後世へと幻想郷の歴史を伝えるためにも阿求はどんな些細な出来事でも綴っていた。
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