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「ふう」
時刻は午前七時三十分。
優の体を堪能し(別に性的な意味はなく、本人曰くロリコンは見守るのが使命なのだそうだ)た桐谷は高校へ登校するために、着替えを終えて玄関へと向かった。
優も朝になると自分から桐谷の布団から抜け出して、小学校へ行くために身支度を始めた。
もう少しいてくれたっていいのに、などと不埒な考えを捨て切れずに毛布にくるまって優の体温を堪能していた変態(桐谷)がいたのはまた別の話である。
「父さん、母さん。今日も一日俺ら兄妹を見守っていてくれ」
両手を合わせて玄関のすぐ傍にある仏壇に手を合わせる。
両親は桐谷がまだ物心付いていない時に亡くなったと叔父から聞かされた。
その頃には親の記憶なんてものは何一つ残っていなかった桐谷にとって、両親は憧れを抱く程度のものでしかなかった。
金銭的にも生活的にも余裕があったのだから、それは至極当然の結果なのかもしれない。
「じゃあ先に行くからな」
返答が返ってくるのを待たず、玄関の敷居を跨ぐ。
妹たちにしばしの別れを告げいつもと変わらない毎日を過ごすため、桐谷は高校への道へと踏み出す。
……これが如月桐谷のいつもと変わらない一日の朝だった。
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