再会と勝負

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 なんだろう……?  ぼんやりとした意識の中、なにかを感じ取った。  温かくて気持ちのいい柔らかな感触。それを頭部に強く感じる。  あ……気持ちいい。二度寝しちゃいそう……って、それはまずいか。  二度寝なんかしたら、それこそ夕方頃まで眠り込んでしまいかねない。  これから夏にかけて暖かくなっていく時期と言っても、さすがに夕方頃は冷えてくる。しかもここは屋上だ。高い所にいる分、地上に比べ寒さは増す。  名残惜しいけど起きようっと。  重い瞼を開ける。  ぼんやりとした視界でなにかが動いた。 「あ、おはようございます」  挨拶された。どうやら人らしい。まあ、人じゃない方がおかしいけど。  ぼやけた目をこすり、もう一度相手を確認する。 「…………」  言葉を失い、目が釘づけになった。  なんで? としか言いようがない。  美少女だ。  眼前に見えるその顔は昨日あたしの同人誌を買っていった、あの美少女。  その美少女がなんで目の前に……ちょっと待て。  疑問が浮かび上がり、すぐさま思考をフル活動させる。  第一になんであたしの真上に美少女の顔があるのか。  それは彼女があたしを上から見ているから。  第二に頭部に感じるこの気持ちいい感触。  温もりは人肌。そしてこのちょうどいい埋もれる感じ。恐らく太股部分。  そしてこれらのことを考えた結果、ある一つの答えにたどり着いた。 「ほわっちゃちゃっちゃあっ!!?」  奇声を上げながら脱兎の如く飛び起き、意味もなく猛ダッシュ。  終いには近くのフェンスに前方不確認で激突する羽目となった。 「ぐぅ~……!」  強打した顔面を押さえがら、あたしは芝生の上でのたうちまわる。  フェンスのくせに地味に痛い。あの網目なかなかの曲者だわ……。 「あ……あの~大丈夫ですか?」 「……だいじょ……」  痛みを堪えながら僅かに目を開けると、視界にピンクのフリフリが。 「ぶになった」  自分でも驚くくらいの早さで起き上がる。 「わっ、復活早いですね~」  あたしもまさか美少女のフリフリ付きのパンツに、レイズデット効果があるなんて思いもよらなかったわ。  軽く深呼吸し、美少女と向き合う。
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