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「ところで一つ訊いていい?」
ももかがこくんと頷いたのを確認し、あたしは質問を口にする。
「なんで……その、膝枕してたのよ?」
口にした途端、なんだか急に恥ずかしくなり、思わずももかから視線を逸らして話してしまっていた。
「う~ん、なんとなく膝枕したかったからかな?」
「いや、訊いてるのこっちなのに疑問形で言われても困るんだけど……」
そもそもなんとなくで膝枕はしちゃ駄目な気が……。見た目と違って意外と軽い性格なのかな?
などと考えていると、
「あ、きっと瑞季ちゃんの寝顔がとっても可愛いかったからですよ」
思いも寄らない言葉に、自分の顔が急激に赤くなるのが見えなくてもよくわかった。
つい昨日会ったばかりの相手に寝顔を見られたなんて……なんかいろんな意味で恥ずかしすぎる。
ん? ちょっと待てよ。なんで昨日会った美少女がここにいるの?
ももかに視線を向ける。
あたしと同じ制服をあたし以上に着こなし、あたしと同じ二年生を指し示す校章が制服の胸ポケットに刺繍されている。
つまり、ももかはここの学生で、あたしとは同学年というわけだ。
でも、学校でももかを見かけたことは一度もない。学校で見たのはこれが最初だ。
これだけの美少女が学校にいればそれだけで話題になるし、今まで見たことないというのはあまりにもおかしい。
身の毛がよだった。
制服を着ているのに、同学年なのに、学校で見たことがない彼女に対して……。
「ももか……あんた、何者?」
恐る恐るあたしはももかに尋ねていた。
ももかの表情は依然と変わらず微笑んでいる。それに対して僅かにぞっとする自分がここにいた。
ももかの口がゆっくりと開く。
「わたしは」
果たしてその口はなにを語るのか……。
あたしはももかの言葉を身構えて待った。
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