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「いきなり大声で叫ぶんじゃ……ないわよ。……このぉバカあびにゃ……ん、がぁ……。ってか、内容が……いちぶぅ、じゅうふくぃしへるわよぉ……」
駄目だ……熱のせいで呂律まで回らなくなってきたうえに、今ので熱が少し上がったみたいだ。
『大丈夫?』
「だいじょふなら……がっこぅ行ってるわよ……」
正論を述べ額に貼った熱さまシートを上からギュッと押し、冷たさを強制的に引き出す。
しかし、すぐにその冷たさは熱によって抹消されてしまった。
これ、マジでヤバいわ……。
『だよね……。あ、で本題なんだけど、その美少女が』
「ごめん……もうむりぃほい……」
あびにゃんの言葉を遮り、電源ボタンへゆっくりと親指を伸ばす。
『え? ちょーーい、ミズ、』
プツンとあびにゃんの声が途切れ、自室にはあたしの息づかいと時計の音だけが聞こえるだけとなった。
携帯を閉じ、一息吐いてからゆっくりと目を閉じる。依然と熱は引かず、暑苦しいくてだるい。
早くよくなるといいな……。
そう祈りながら、あたしの意識は徐々に深い闇の底へと沈んでいった。
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