2章

3/7
前へ
/15ページ
次へ
平日の夕方、人もまだらなそこに制服の彼が行くと明らかに浮く。 好奇の目にさらされるのもお構いなしに、目的の場所へずんずん進む。 足を止めてその場へ立つと、ガラス張りの向こうには1枚の貼り紙が貼ってある。 『保存上の理由により、一時展示を見合わせています。』 「いつまで待ちゃ良いんだよ……」 すい、とあがった手をガラスに向かって伸ばす。 彼がいるこの場所は、美術館。 ―――彼は、この時代の人間ではなかった。 .
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加