2章

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『行ってくる』 『行ってらっしゃい。外には気をつけるのよ』 『ん』 21世紀から数世紀後の話だ。 外にでて、息を大きく吸い込む。 閑散としたその空間に、人の気配はない。 『広いよなあ』 数年前までは、目に見えてもっといた。 戦が始まって、減ったのはそれからだ。 死んだ人間もたくさんいる。 それ以上に多いのは、決して交わることのない世界へ行った人間達だ。 『―――俺だって行きてえさ』 両親が『飛ばない』と決めた限り、自分も『飛ばない』。 四方を壊されたビルに取り囲まれたこの世界に留まり続ける自分に、出来る事は何一つなかった。      マミヤ チアキ 少年の名は間宮千昭。 物語はここから始まった。 彼の住むこの世界は、今まさに戦争中だ。 核も使われ、そして町で平気に銃をぶっ放す。 争うものはお金と地位と。 誇りなんてもんは、存在しない。 .
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