1人が本棚に入れています
本棚に追加
これは夢に違いない。
目の前の光景を夢だ夢だと言い聞かせながら俺は逃げ回った。
突然現れた美少女がいきなり俺の命を狙ってきたのだ。
しかも彼女はこの星の者ではなく、はるか遠い星からやって来たのだと言うのだ。
「いい加減、死んでもらえる?」
彼女は表情ひとつ変えずに俺に襲い掛かってくる。
見た目こそ普通の少女だが、左腕が巨大な剣に変化してしまっている。
こんな化け物が迫ってきて腰ひとつ抜かさない俺の意外な肝っ玉の太さに今は感謝だ。
あと、季節が夏なのも幸いした。
もし冬服のブレザーを着ていたら、こんな俊敏な動きは恐らくできなかっただろう。
「あんたはいったい何なんだ。死ねと言われて死ねる人間がどこにいるんだよ」
「それが私たちの幸せにつながるからよ」
しかし、星を渡ってこの地球にやって来られるほどの文明を持ちながら、どうして殺しの方法が刃物なのか?
下校のために一人になったところを狙わなくても、知らぬ間に拉致したりだとか、殺されたことにも気がつかないような殺し方ができてもいいものだが。
いや、そんな疑問はどうでもいい。
今はこの危機的状況をどうやって乗り越えるかだ。
最初のコメントを投稿しよう!