1人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬、目の前が光ったと感じた瞬間、俺は意識を無くしたみたいだ。
俺は道端に倒れこんでいたところを下校途中に偶然通りかかった幼馴染の葵に助けられた。
「いったい、どうしちゃったの?こんなところで倒れてるなんて…」
「ちょっと転んでさ」
俺はあんな非現実的なことは信じてもらえないだろうととっさに判断し、誤魔化すことにした。
でも、こんな言い訳が通じるかは不明だ。
「病院行った方がいいんじゃない?気を失うほど強烈だったんでしょ?」
通じた!
「いや、大丈夫だから。ホントに」
本当のことなんて言えるはずがない。
もしさっき起こったことを俺が大真面目な顔で葵に話したら、転んだショックで頭がおかしくなったんじゃないかと思われて本当に病院に連れて行かれてしまう。
「でもさぁ、歩きなのにどう転んだら気絶できるの?」
「え?」
いくら天然の葵でもさすがにそこには気付いたか!
歩きながら気絶するように転ぶ方法なんて俺でもわからない。
「うん。…用事を思い出して、走っちゃってたからさ…」
そういって誤魔化すが、俺はこの十七年の人生で一度でも走って転んで気を失ったことがあっただろうか?
「体調悪かったの?」
「うん。あ、そうだ。昨日の帰りに献血に行ってさ」
嘘を隠すためにさらに大きな嘘を付いてしまうとはこのことを言うのだろう。
なんで俺がこんなことで困らないといけないんだ?
最初のコメントを投稿しよう!