☆1

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「1限始まるぞ!」 「急ぐぞ、流!」 「お、おぅ」 三人は何とか1限目の美術の時間に間に合ったが、何故か教室内は慌ただしかった。 「?」 「何事だ?」 「かっこいいよねぇー」 「ん?」 「「流くん!」」 「へっ? お、俺の話?」 「あ! 本人居るじゃん」 「流くん、おめでとう」 「はい?」 「バスケ部のキャプテンに抜擢されたんでしょ? おめでたいよね!」 「へっ? そ、そうなの?」 「俺を差し置いてか?」 「む、武蔵!」 「俺もキャプテンなりたい」 「嫌、それはどうなんだかな」 「何故、この馬鹿がキャプテンなんだ? 世の中腐ったものだな」 「お前ら、煩い。 授業中だぞ」 「可憐も流でいいと思うのか?」 「嫌、俺は授業をだな」 「真面目だなぁー 麻生も嬉しいだろ?」 「まあ、それなりには嬉しいけど授業中だから静かにしないと駄目だろ?」 「だって、先生居ないんだもん」 「武蔵、先生は?」 「さぁ? 何か、呼び出されて行ったからこの前の絵の続きやれってさ」 「そうか。 なら、それやるか」 「なぁ、可憐? 可憐って絵上手いよな」 「そ?」 「センスあるし、何かコツあんの?」 「イメージが大事なんだ。 イメージしたモノを描くんだ」 「そうか! イメージか」 「俺も頑張ろっ! 亜子に見せるんだ」 「ラブラブだな、お前ら」 「当たり前じゃん? 好き合ってる訳だしな」 「まあ、仲良くやれ」 「勿論だ」 流はフッと微笑むと、美術の絵をイメージを膨らませて描いてみるのだった。 そして、2限目と3限目は体育でマラソン大会に向けての走り込みが行われて武蔵達以外のクラスメートはグッタリであった。 「うちのクラスって文系だから、体力ないんだよなぁ…」 「武蔵は体力あるからな」 「流こそ、流石だな」 「可憐も意外と体力あんだよな」 「可愛いのにやっぱり男らしいぜ」 流と武蔵が水道水で顔を洗いながらそんな話をしていると、いきなり肩をポンポンされる。
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