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「ん? だぁーれ」 「武蔵くん、お疲れ様」 「ま、真尋先輩?」 「走り込み大変だったね?」 「見てたんすか?」 「うんっ 丁度、教室から見えてたからね」 「そっすか」 「コレ、差し入れ」 「ハチミツレモン?」 「嫌いだった?」 「嫌、ありがたい」 武蔵はフッと微笑みそう告げると、ハチミツレモンをストローを刺して飲んでいた。 「真尋先輩、俺にはないの?」 「君には彼女がくれそうじゃん?」 「へっ?」 流が何となく校舎の陰を見ていると、栗色の髪が風で靡いて隠れている女が居るのに気付く。 「あ、亜子? 何隠れてんだ」 「あっ! 何でわかったの?!」 「髪靡いてたから、亜子だって気付くに決まってるだろ?」 「ふふっ 流、見つけるの得意なんだね」 「亜子限定だけどな」 「うんっ」 亜子はフッと微笑むと、差し入れに持ってきたポカリを手渡す。 「流、格好良かったからご褒美だよ?」 「ありがとう、亜子」 「亜子、あんまり流を甘やかすなよ? 幼馴染みとして忠告」 「ふふっ ありがとう、可憐くん」 「俺、甘えたいんだけど?」 「あんまりって言っただろ?」 「あんまりってどのぐらいに値するんだよ?」 「それは亜子が判断する事だから知らないけど?」 「え? 亜子次第って意味か?」 「そうだよ。 お前ら二人の基準なんだし、知らないけどな」 「あ、亜子?」 「ん?」 「甘えたいんだけど?」 「程々ならいーよ?」 「お前ら、何なの?! 発言が曖昧すぎて分かんないだろ!」 「流次第だよ」 「ぬっ?!」 「流の日頃の行い次第だ」 「つーか、お前ら… 次の授業始まるぞ?」 「「「あっ!!!」」」 三人は武蔵の発言で授業がまだある事を思い出すと、慌てて教室へと向かったのだった。
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