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「可憐、お客さん来たから料理多めにしてくれる?」 「お客さん?」 可憐はそう告げると、その訪問客をガン見するが目を丸くした。 「な、何でアンタが?!」 「可憐くん、これ落としたでしょ?」 「あっ!」 「可愛い猫のキーホルダー」 「あっ! 無い!」 「今気付いたのかい?」 「あぁ。 全く気づかなかった。」 「はいっ」 「あ、ありがとうございます」 「どう致しまして?」 夜城はフッと優しく微笑むと、可憐はその顔にまた目を丸くしていた。 「あれ?」 「どうかしたの、可憐?」 「な、何でもないよ」 可憐はそう告げると、キッチンへとスタスタ戻り料理の続きを行っていた。 「ねぇ? 可憐が執事喫茶でバイトしてくれるってよ?」 「えっ? 本当?」 「但し条件付き。 友達も一緒ならってよ」 「もちろん、大歓迎だよ! ありがとうな、詩」 夜城はそう告げると、詩に優しく微笑んでいたので可憐は何となくムッとしていた。 「可憐くん、何作ってるの?」 「な、何でこっち来る?!」 「嫌、可憐くんにもお礼を言わないとって思ってね? 嫌だった?」 「べ、別に嫌だけど?」 「へっ?! それ、何?」 「うふっ 可憐ったら照れてるのよ、それ」 「ふぅん? 可愛いな、可憐くんは」 「可愛くないし、男だ!」 「随分気にしてるんだね、容姿」 「ずっと女に間違われてたら嫌になるけど?」 「俺は男の子って思ってるけどな」 「アンタも女の子と間違えたじゃん?」 「可愛かったからつい? でも、ちゃんと男の子って分かってたよ」 「…何それ」 「可憐くん、とりあえず明日から来れる?」 「えっ?」 「バイト」 「あ、じゃあ… 親友も連れてきて紹介するって事で?」 「そうだね? 宜しく頼むよ」 夜城はまた優しく微笑む為、可憐は何となくくすぐったくなった。
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