☆1

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「可憐くん、それで何作ってるの?」 「オムライスだけど? 嫌いなら変えるけど…」 「好きだよ、オムライス」 「なら、座って待ってなよ」 「手伝おっか?」 「へっ? アンタ、料理出来るの?」 「勿論だよ。 独り暮らしだし、自炊だもん」 「ふぅん? なら、切るから炒めて貰える?」 「了解」 夜城はフッと楽しそうにそう告げると、手慣れた感じでフライパンを扱っていた。 「可憐くん、料理得意なんだね?」 「まあ、ずっと小さい頃から作ってるからね」 「ふぅん? なら、心配なさそうだね」 「アンタもなかなか慣れてるね」 「だね?」 夜城はフッと微笑むと、オムライスの材料を炒めて味を整えていた。 「こんなもんかな? 味見してみるかい?」 「えっ?」 「どう? 美味しい?」 「…美味い」 「そりゃ良かった」 「…」 可憐は夜城の笑顔にまた戸惑ってしまい言葉を失っていたが、夜城は隣で玉子で包んでオムライスを完成させていた。 「よし、完成! 食べようか」 「…うん」 「可憐くん、どうかした?」 「い、嫌? 何でもない」 「ふぅん? まあ、それは後で解決するとしよう」 「えっ?」 「今は夕飯食べようか」 「あ、あぁ」 三人は食卓に座ると、出来立てのオムライスを美味しそうに味わっていた。 「夜城も料理上手ね♪」 「詩は酒飲み過ぎでしょ? また頭痛酷くなるよ?」 「うふっ これは唯一の楽しみなんだから♪」 「そうだろうけど、程々にな」 「うふっ」 詩は美味しい料理とお酒で満足したのか、そのままソファーに寝転んで寝てしまった。 「詩は弱いくせに酒好きだな」 「アンタ、やっぱ詩姉の彼氏?」 「嫌? 俺は彼氏じゃないけど…」 「じゃあ、何?」 「同業者なだけ」 「あ、パティシエだから?」 「うん? 喫茶店にはケーキでしょ?」 「なるほどね」 可憐は納得した感じでそう告げると、皿を洗ってからコーヒーを淹れていた。
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