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「な、何?」 「嫌、猫みたいだからつい」 「猫じゃないんだけどな?」 「とりあえず、帰ろっか」 「…仕方ないから、帰るだけだからな」 「フッ ツンデレだな、可憐は」 「煩いよ?」 「鍵はある?」 「あ、うん? 詩姉さんから預かってる合鍵なら」 「よし、帰るよ」 「あぁ」 可憐は夜城に続き部屋を出ると、夜城は何故か可憐の手を握ってくる。 「な、何?」 「嫌? 可憐が逃げないように捕まえとこうかなと」 「別に逃げないけど?」 「分かんないじゃん? 可憐は気まぐれだもん」 「…逃げないって?」 「まあ、いいから」 「はっ?!」 「正直言うと、繋ぎたくなっただけだから」 「はぁー?!」 「つー事で俺の家に連行」 「はっ?! 送ってくれんじゃないのか!」 「気まぐれなんだよ、俺も」 「何だよ、それ! つか離せ!」 「可憐、家に来たらきっと喜ぶと思うんだけどなぁー」 「それは絶対ないだろ」 「あるかもよ? 楽しみは行ってみて確かめるべし」 「嫌嫌、確かめるのも怖いぞ?」 「まあ、いいから」 「何なんだよ、アンタは!」 「ほら、着いたし覚悟決めてくれる?」 「はっ?! 近くない?」 「偶々、詩のマンションに近かったんだよ」 「ふぅん?」 「ほら、入って?」 「お、お邪魔します」 可憐は戸惑いながらも家に入ると、夜城はフッと微笑むとゲージを開けて何かを抱いて来た。 「ほら、可憐」 「あっ…」 「可愛いだろ?」 「…うん」 可憐は素直に首を縦にすると、夜城はフッと楽しそうにこう告げた。 「抱きたい?」 「えっ?」 「抱きたそうな顔してる」 「うっ」 可憐は図星だったのか顔を歪ませていたが、夜城はフッと可笑しそうに笑うと猫の名前を呼んだ。
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