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「可愛い!」 「や、やめろって!」 可憐は漸く夜城から離れると、ムッとした顔をして時計を見た。 「あ! マジで遅刻する!」 「なら、行きますか」 「お前は転入生なんだからもっと早く行こうよ? 先生に挨拶とかあんだろ?」 「可憐くん、真面目さんなんだな」 「学校はそんな場所だろ?」 「友達紹介してね?」 「執事喫茶に連れて行く予定だから紹介はするけど? それより急ぐぞ」 「うん、了解」 夜城はやっと行く気になったのか鞄に弁当を入れて持つと、何故か手を握ってくる。 「何だ、この手は?」 「照れてるの?」 「じゃなくて、やめろ」 「うーん? なら、俺のこと付き合う対象として考えてくれる?」 「…? 冗談?」 「嫌、至って本気」 「うーん? でも、男は興味ないんだけどな」 「それはそうだろうけどさ? 可憐くんちょっとときめいてるから脈アリかなって思っちゃうんだけど」 「んー じゃあ、考えるから抱きついたりしないでくれる?」 「えっ? それ本当?」 「答えに納得出来なくても拗ねるなよ?」 「勿論、わかってるよ」 夜城はフッと優しく微笑むと、やはり可憐はその顔には弱いらしい。 (な、何だろこの… 撫でてやりたくなる衝動? 好きなわけじゃないよな) 可憐はそんな事を考えながら登校したのだが、毎度の事朝から武蔵に抱きつかれた。 「可憐〜♪」 「武蔵、抱きつかないでくれ」 「だって、やっぱ抱きやすいし?」 「殴るけどオッケー?」 「フッ… よし、こい!」 「期待されてもな」 「やっぱ可憐はツンデレさんだな」 武蔵はそのやり取りが好きなだけなので満足そう離れた。 「流は?」 「あー、アイツなら亜子ちゃんとラブラブしてるぞ?」 「あ、そうだった。 付き合ってるんだった」 「可憐がくっつけたんだろ」 「嫌? 元々が両想いな訳だし時間の問題だったんだよ」 「ふぅん? それより、そっちのイケメンは誰?」 「あぁ、コイツは…」 「暁夜城だ。 可憐くんに告白したのって君?」 「梅乃武蔵だ。 まあ、宜しく」 「ふぅん? 可憐くん、彼が紹介しようとした人?」 「あ、うん?」 「ん? 紹介って何のことだ?」 「武蔵さ? 執事喫茶でアルバイトしない?」 「へ? 執事喫茶ってあの…」 「夜城はオーナーなんだってさ? だから、武蔵が興味あったらなんだけど…」 「ふぅむ? 可憐もアルバイトすんの?」 「あ、あぁ。」 「なら、お供しよう」 武蔵はフッと微笑むと、可憐もパァーッと明るい顔になった。
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