★2

5/19
126人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
「ありがとうな、武蔵」 「うん、とりあえず抱きついていい?」 「ダメ」 「ぬっ 残念」 武蔵が武士みたいな対応をしていると、呑気な声が聞こえてくる。 「可憐に武蔵、はよ?」 「おっ 流、亜子ちゃんは?」 「クラス違うから仕方ないじゃん?」 「ラブラブして戻ってきた訳な」 「ん? そっちは誰?」 「暁夜城だ。 君も可憐くんの友達?」 「槇乃流だ。 えっと、転入生?」 「そうだ」 「もしかして、可憐狙ってる?」 「え?」 「何か同じシャンプーの匂いするんだけど?」 「「え?!」」 「可憐、付き合ってるのか?」 「い、嫌? 付き合ってはないけど」 「じゃあ、告白されたな」 「う、うん」 可憐は力なく頷くと、流はフッと優しく微笑むとこう言った。 「可憐可愛いもんなぁー まあ、俺は亜子が一番だけどな」 「流くんアルバイトに興味あるかい?」 「アルバイト?」 「執事喫茶をオープンするんだけど、人手がなくてね? 興味があったらなんだけど…」 「ふぅん? あ、でも… 亜子に相談してから決めるとかでもいい?」 「あ、彼女居るんだったね」 「うん、そうなんだ」 流は照れくさそうにそう告げると、武蔵が羨ましそうにしてた。 「両想いとか羨ましい限りだよな?」 「んー まあ、もっと早く告白出来てたら良かったんだけどな」 「まあ、流にしては良くやったと褒めてやろう」 「武蔵、お前今日日直じゃなかったか?」 「ぬっ?! そうだった!」 「ほら、早く行かないと担任困るかもな」 「うむ、行ってくる」 武蔵はそう告げると、日誌を取りに行く為に職員室へと向かっていた。 ノックをして職員室に入ろうとすると、安達真尋が出てくるのでぶつかりそうになる。  「あっ…?!」 真尋はビックリしてバランスを崩し掛けるが、武蔵が咄嗟に体を支えたので助かった。 「安達先輩、大丈夫すか?」 「あ、武蔵くん! ごめん」 「嫌、俺は別に大丈夫っすけど?」  「あ、ごめん。 離れるから…」 真尋がそう言って慌てて離れようとすると、武蔵は腕をグイッと掴んでこう告げた。 「安達先輩って、何か甘い匂いするんですね?」 「えっと、香水じゃないかな」 「ふぅん? そうなんだ」 「あ、あの? 離してもらえる?」 「あ、すいません! つい掴んじゃいました」 「…?!」 真尋がそんな発言に驚いていると、武蔵はやっと腕を離してくれた。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!