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「あっ… もう行かないとな」 「またお昼にね?」 「うん、楽しみにしとくな」 流は嬉しそうに教室に入ると、エプロンと三角巾を準備していた。 「流、嬉しそう」 「ほら、可憐も得意分野じゃん? 誰かに渡さないのか?」 「別に渡す人居ないけど?」 「可憐くん、俺にちょうだい?」 「は? 何で夜城が欲しがってんだよ?」 「いいじゃない? 俺も可憐くんに作るから交換しよう?」 「んー 気が向いたらな」 可憐はフッと微笑むと、エプロン等を持つと家庭科室へと向かってしまった。 「暁、女子は落ち着いたのか?」 「んー 囲まれるのは苦手だからってさっき伝えたんだが、まだちょっと見られてるな」 「モテる男は大変だな?」 「モテたくはないけどな、可憐くん以外は」 「可憐は女の子と付き合うってのが当たり前だと考えてるから、難しいんじゃないか?」 「槇乃は幼馴染みなんだったけ?」 「そーだよ? でも、可憐付き合った子は居ないからなぁー 男に勘違い告白されてばっかりだったし」 「そうみたいだな」 夜城はそう返すと、家庭科室に居る可憐に近づいた。 「可憐くん?」 「んー? 夜城、違う班だろ? どーした?」 「ちょっと顔見たいだけ」 「へ?」 夜城の発言に意味不明な可憐ではあったが、夜城はフッと微笑むと満足そうに離れた。 (え、えっとー 今のは何だったんだ? 顔見て満足してたみたいだったけど…) 「可憐!」 「な、何?!」 「準備しようぜ? 美咲ちゃん来たし」 「あ、埼原先生来てたんだ」 「だから、準備しようぜ」 「わかった」 ボウルや型なんかを棚から取り出そうとしていた可憐だったが、身長的に高い位置は届かない。 「む、武蔵助けて」 「ふむ、了解した」 「武士対応やめない?」 「元々だろ、武蔵の場合」 「しかし、チョコレートって溶かすだけなのかな?」 「生クリーム入れたりして違うの作れるみたいだけど、チョコレートって奥深いな」 埼原美咲は生徒達の様子を見ていたが、黒板に今回のメニューについて書いていた。
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