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「亜子ちゃんの初恋って… やっぱ流くん?」 「えっと、そうかな」 「ほう、流の何処に惚れたのか聞こうか」 「えっと… 流の好きな所は…」 「ダーメ! そんなん俺が聞いとくし」 「「「えー」」」 「亜子」 「はい?」 「ダメだよ?」 「う、うん? 流に言ったらいいの?」 「え? それは後の楽しみとして聞くから」 「…!」 「「やっぱり甘々!!」」 「煩い煩い」 流はそう適当に配らうと、亜子はフッと嬉しそうに流の料理する姿を観察し始める。 「夜城は恋人居たのか?」 「武蔵は直球だな?」 「私も気になるー 暁先輩、どうなの?」 「うん、まあ… 居たけど」 「へぇー 今は会ったりとかしてないの?」 「うん、会えないからさ」 「別れちゃったから?」 「んー まあ、そんなトコ」 「そうだったんだ? よっぽど好きだったんだね」 「うん、そうだな」 夜城はフッと無理して笑うと、携帯を持つと外に出てしまった。 「電話かな?」 「うむ、そうみたいだな」 武蔵と千華がそんな風に勘違いしていると、可憐は何となく違う気がしていた。 「可憐、行ってやれば?」 「え?」 「ほら、もう敷き詰めて焼くだけだし? 亜子手伝ってくれ」 「うんっ」 「じゃあ、ちょっと行って来る」 可憐はエプロンを外すと、玄関を出ると夜城は非常階段の所に座っていた。 「夜城、どうした?」 「可憐くん、何?」 「何じゃなくて? つーか、急にどうした?」 「可憐くんさ? もしもさ? 好きな人が亡くなったらどうする?」 「そ、そりゃ悲しくて泣きまくるだろうけど?」 「そうだよね、普通」 「もしかして、澪って人?」 「うん、そう。 去年亡くなったんだ」 「…ごめん、俺」 「ううん? 可憐くんには話しておきたかったんだ」 「夜城はまだその人が好きなんじゃない? 俺が好きなのも勘違いじゃないか?」 「“好きだった”かな? 今は可憐くんに興味ある」 「…もしかしてさ? 似てるとか言わないよな?」 「負けず嫌いで素直にならないトコ以外は似てないよ」 「そっか、わかった」 可憐はそう応えると、夜城は腕を掴んで引き寄せてきた。
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