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「彼女って意味すか?」
「そーだね。
けど君の場合女子は寄って来ないかもね?」
「それ困るっす。」
「試しに僕と付き合ってみる?」
「へっ?!
でも柳垣先輩彼女居ますよね」
「居ないけど?」
「デマですかね?」
「居たけど別れたんだよね」
雪兎は普通に笑顔でそう言うと、選んでいた本を棚に戻していた。
「僕も女の子じゃ合わないのかもしれないね。」
「男がいいんですか?」
「まあそれもそうだね?
まあ、可憐くんは可愛いらしいしタイプだけどね」
「とにかくダメなんで!
俺も女の子と付き合いたいんで。」
可憐はそう言うと、好きな本を持って図書室から出て行った。
「無理なんだよ。
君じゃなくちゃね?」
雪兎は独り取り残された図書室で切なくそう呟くと、暫くしてから図書室を後にした。
(さっきの冗談だよな。
雪兎先輩に限ってそれは無いよな?)
可憐が教室に向かう途中でそんな事を考えていると、流と武蔵が騒がしく現れた。
「可憐ー」
「みーっけ♪」
「お前らウザすぎ」
「そんなツンツンすんなって?」
「そうだぞ、可憐」
「いーから、席着いとけ」
「可憐は真面目だなぁー」
「…」
可憐は自分の席に座ると、授業の準備をしていたが教科書が見当たらなかった。
「あれ?
確か、机にあったけどな」
「可憐、机あさくってどうした?」
「教科書、無くてさ」
「教科書?」
「あぁ。
ロッカー探してくる」
「じゃあ、俺も行く」
「武蔵も?」
「駄目か?」
「駄目じゃないけど」
「じゃあ、行こう」
武蔵が可憐と二人で教室を出ていくと、流は周りでこそこそしている奴等を睨み付けていた。
「オイ、お前ら!
それ可憐の教科書じゃねーの?」
「ま、槇乃?!」
「何してんだよ、一体?」
「麻生の教科書と自分の教科書を交換すると恋が成就するんだよ」
「はぁ?」
流は呆れてた顔をすると、こんな事をその男に言った。
「可憐を困らせんな。
探しに行っただろ、馬鹿」
「そ、そうなのか?!」
「ほら、返しとけ」
「あ、あぁ」
教科書を可憐の机に返すと、ソイツは何やらガッカリしていた。
(仕方ないな、呼びに行くか)
流は教室を出ると、ロッカーのある場所を目指していたが途中で誰かにぶつかってしまった。
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