☆1

8/20
前へ
/79ページ
次へ
「武蔵、話って?」 「俺、可憐が好きだ」 「え?」 「いつもふざけてるけど、可憐を異性として好きだよ」 「えっと、冗談はやめないか?」 「冗談じゃない。 本気だよ」 「えっと… 俺は武蔵を友達だと思ってるよ?」 「可憐、俺と付き合ってくれ」 「だ、だから… 武蔵は友達だよ」 「俺は可憐が好きだし、付き合いたいって思ってる」 「ごめん。 無理だよ、それは」 「どうしても駄目か?」 「俺は、武蔵も流も大事な親友だし大切なんだよ。 だから、付き合うとかはしたくない」 「わかった。 じゃあ、俺とはずっと友達なんだよな?」 「あ、あぁ。 そうだ」 「心得た」 「武士みたいだな、お前は」 可憐はフッと微笑むと、武蔵はギュッと抱きしめてくる。 「武蔵?」 「可憐、やっぱり俺のになっとかない?」 「やだ。 武蔵、変態だから」 「ふふん」 「抱きつくなって!」 「可憐はかわいいな」 「可愛いとか言うなよ!」 可憐は武蔵を引き剥がしながらそう言うと、流が突然現れるなり呆れたようにこう言った。 「まーた可憐に抱きついてんのか武蔵?」 「だって可愛いーもん♪」 「やっぱり死ぬ?」 「やだ。 可憐を置いて死ぬなんて♪」 「知らんわ!」 可憐はそう言うと、武蔵から離れトコトコ歩いていった。 「あのツンとしたトコも可愛いいんだよな」 「武蔵、諦めるんじゃねーのか?」 「まだ、すぐには諦めきれないかも」 武蔵はそう言うと、流と一緒に美術室へと歩いていった。 「あ、亜子? 何か顔赤いけど大丈夫?」 「千華ちゃん! 私、流くんと付き合う事になったの」 「えぇ?!」 「さっきバッタリ会って告白されたの」 「良かったじゃん、亜子」 「うんっ 私、幸せ過ぎで」 「私も頑張んなきゃー」 「千華ちゃんは雪兎先輩だったよね?」 「う、うん」 「頑張ってね?」 「勿論よ!」 千華と亜子が楽しげにそんな会話をしている中、流もフッと笑って喜びが滲み出ていた。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加