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「あ、亜子だ」 「えっ?!」 「流、何その反応?」 「えっ… 嫌、何もない」 「ふぅーん? お前、亜子が好きとかないよな」 「す、好きなわけないだろ」 「ホントだろーな?」 「ほ、ホントだって」 「じゃあ、俺がもらうからな」 「えっ」 流は予想外に動揺した顔をする為、可憐は充分に確信を得る事ができた。 『流は亜子が好きだったのか… なら、時間の問題だな』 可憐はニヤリと笑うと、流はまた不安げな顔で動揺しまくっていた。 「か、可憐! それはホントなのか?」 「何慌ててんの? 流は別に好きじゃないんだろ。 なら、俺が亜子を貰っても問題ないだろ」 「も、問題ある」 「理由があるなら、言えよ」 可憐が呆れたようにそう言うと、流は真剣な顔をしてこう話す。 「俺、最近亜子に会ったんだ。照れくさくて声はかけらんなくてさ」 「つまり?」 「俺、亜子が好き。 だから可憐にやるのは無理っつーか」 「漸く素直になったか」 「へっ?!」 流が可憐の予想外な言葉に目をパチクリさせると、可憐はニヤリと笑ってこう告げる。 「冗談だよ。 亜子は大事な幼なじみだしな」 「えっ… じゃあ、可憐は亜子を好きとかじゃねーのか?」 「流が素直にならないから、鎌掛けただけだ」 可憐がそう言うと、流はまんまと罠に嵌った自分が恥ずかしくて真っ赤になって照れていた。 「つーか、亜子と上手く行ったんだろ?」 「う、何で分かったの?」 「さっきから、ニヤケ過ぎ」 「流、分かりやすいよなぁー」 「武蔵に言われたくないぞ? つーか、可憐の教科書取り返しといたからな」 「へっ? 何処にあったんだ?」 「それは聞くな」 「あ、あぁ」 可憐がコクンと頷くと、流はフッと微笑みこんな事を言ってきた。 「俺、亜子を幸せにする」 「泣かせたら奪ってやるからな」 「か、可憐怖いよ!」 「幼馴染みだから、心配なだけだ」 「可憐には勝てる気がしない」 「亜子はお前選んだんだから、もっと余裕持てよ?」 「可憐、やっぱりお前男らしいな」 「男なんだから、当たり前だ」 可憐がフッと微笑んでいると、武蔵はムッとした顔で時計に目をやる。
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