梅雨

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 気がついたら、アタシは自分の部屋に戻って、布団をかぶっていた。 蒸し暑い夜だというのに、なぜか身体はカタカタと震えていた。  どうすればいいんだろう?  ――小さい子どもの時に、スーパーで迷子になった。 その時みたいに、どうしようもなく途方にくれた気分になった。不安で心配で、焦りと混乱が邪魔して、いつものスーパーが魔女のお城みたいにありとあらゆるものが怖く思えた。 あの時みたいに、今は住み慣れたはずの家が怖い。
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