家出

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 でも今回は、あまりにも突然で、期限なんてない。  温かい家族なんて知らないアタシが、突然そんなものになりましょうって言われたところで、それはゴッコでしかないって思ってしまうのは、当然のことなのかもしれない。  子どもはいつだって大人に振り回される存在だ。  もう、中学生だし、子どもじゃないって思っていても、大人じゃないアタシは相変わらずに、こうして悩んでいる。  こうして何も言わないで家出してしまったのも、お父さんたちは多分死ぬほど心配しているだろう。  それをどうしようもなく申し訳なく思うアタシと、いい気味だって思う底意地の悪いアタシがいる。  どっちも本当のアタシだから、どうしたらいいのか分からない。 だから困って、途方にくれてしまったのだ。
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