How do I live on such a field

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 残酷なことを口にした自覚はある。  恐らく博史は、朔磨が最終的に何を目指しているか、察しはついていても、それを本人の口から知らされたわけではないからと、一縷の望みをかけているだろう。  だが、朔磨の前に云霞という符号が現れれば、その推察は、どんどん確信へと姿を変えていく。それが恐ろしいのは、別段おかしなことではない。寧ろ、ごく一般的な流れだ。  云霞は、それを逆手に取った。  博史が朔磨に寄せる崇拝の念が、他と比べものにならないほど強いことを知っていて、そこに付け込んだ。  「……云霞」  「何だろうか」  「朔磨を止めることが出来る者は、いると思うか?」  「いないよ」  云霞は静かに答えた。  「あいつは自分に嘘をつかないし、自分を裏切らない」  一度決めたことは決して曲げない。  ゼロロクイチハチ計画も、やると決定したなら、何が起ころうと、覆すことはない。  云霞は朔磨の意志の強さを、誰より傍で見てきた。  頑固と言ってしまえばそれまでだが、強固な意志に羨望を抱く者は多い。  己の信念を貫くにおいて、彼ほど見事に、それを為果せた者が、過去にいたんだろうか?  彼の決心には、一部の迷いもない。
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