True colors of "Fox"

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 細身の体躯と、整ってはいるが冷たく慈悲のない顔立ちに反して、随分言葉遣いの荒っぽいガルーダは、名月院を伴って、都内のビジネスホテルを訪れた。  一室には既に神部博史、アール・ビアズリー、白峰克彦という朔磨信者の他に、高良櫂吾、ジェニファー・メイウェザー、王云霞がいた。  ガルーダの到着に安堵の様子を見せた黒髪の女は、彼をしてフェニックスと紹介された。  「しかしまぁ、何とも個性的な面々が集まったものだね」  壁にもたれて肩を竦めた云霞は、博史に目を移した。  「急なお呼び立ては、やっぱり朔磨の関係かい?」  「ああ。まずは、名月院。あの会場で何が起こったのか、教えてくれないか?」  素顔を曝したままの名月院にも、博史は驚いた様子を見せない。さすがは、日本切っての天才SPと言われた男だ。  「神永朔磨のこれ以上の蛮行は、我々が食い止めねばならん」  言い切る名月院に、メイウェザーはクールに眼鏡を押し上げる。  「何故それを、貴方達が行うのかしら」  「神永朔磨の暴挙を阻止出来る者がいるとするなれば、それは他ならぬ我々はぐれ卍なのだ」  「出来ていなかったように見受けたが?」  白峰までが、冷ややかに言う。胡散臭いような眼差しが、煩わしい。
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