凶運

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お父様とお母様が悪いんだ。 僕をこんなこんなふうに生んだから…。 僕は、お兄様たちや妹と違って強い魔力なんて持ってない。 最初は自分が人間と悪魔のハーフだからと思っていたけど、よく考えてみたらお兄様たちもハーフだし…。 本当に何で僕だけこうなんだろう? 僕は悪魔なのかな…? ……。 また余計な事を考えていたみたい。 「悪い癖だ。」 と、僕は天井を見ながらポツリと呟いた。 だけど、そう考えてしまうのも仕方ないと思う。 だって、周りから「出来損ない。」って言われるんだ。 たしかに、魔界で魔力が使えない悪魔は、使いものにならない。 というか、いらない。 だから、魔力をほとんど持たない悪魔たちは幼い頃に還元される。 還元は… 魂にかえるって事かな…。 ようするに、「死」っていうこと。 僕は王族だから、魔力がほとんど無くても還元されることは無かった。 だけど、今思うと小さい頃に還元された方が良かったな…。 だって辛いんだ。 生きることが。 もう嫌なんだ。 こんな生活が。 もう……。 …。 「またこんな事を考えてしまった。」 はぁっと、ため息をつく。 窓を見ると、少し欠けた月が照らす。 明るくてとてもキレイで優しい光が、僕の傷だらけの心を癒やしていくのがわかった。 今夜はずっと月を見ていたかった。 なのに…。 コンコンッ。っとドアがなる。 見ていたかった…。 僕はノックされたことで気分を損ねた。 「アルビス様、魔王様がお呼びです。」 と、ドアの向こうからメイドの声が聞こえた。 僕はイライラしているけれど、お父様が呼んでいるから行かなければならない。 「今行きます。」 僕は不機嫌そうに言った。 何でかな…? とても嫌な予感がする…。 そう思ったけど…。 行くしかない。
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