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歴史の授業は賑やかだ。
俺の周りだけ。
椎名先生の言う歴史。
俺の周りの猫又達が呟く歴史はかなりの差がある。
クラスメートに憑いているヤタガラスも会話に入ってきて何とも複雑だ。
こいつらにかかれば歴史上の偉人もただの人。
誰それの女に手を出しただの、狸に化かされたことがあるだの色々な噂と事実が入り混じる。
真面目に授業をしている椎名先生も面目丸つぶれだ。
『なぁアキラ。あのシーナとやらに本当のこと教えてやってくれな』
「…(マチさんそりゃ先生が可哀想だろ)」
『そうか?嘘を教えてるほうがよっぽど可哀想じゃない?』
「(シオまで…今の時代はこれが真実なんだよ。仕方ない)」
『まったく…変な世の中だこと。ねぇ?キノ?』
『どうでもいい…』
マチさんは真っ白な猫又で、一番年上のお姉さん。
シオは銀色の毛並みをした猫又で、口が達者な兄貴分。
キノは真っ黒で、口数少なく、二人の弟のような猫又だ。
というわけで、俺は三人の猫又に憑かれている。
このクラスでは、あと二人ほど人間以外に憑かれている奴がいる。他はほとんど先祖だったり血縁者が憑いていることが多い。
妖怪と呼ばれる者を憑けているのはごくわずかだ。
ひとりは狐が2匹憑いている、稲荷神社の木下。
もうひとりは先祖に妖怪とかかわりがあったらしいヤタガラスが憑いた山下。
まぁ当然ながら二人とも気づくはずもない。
俺はと言えば二人の妖怪とは仲が良いが、二人とは話したこともない。
「鈴木!!聞いているのか!!!!!」
「………すんません…」
おっと……忘れてた。
椎名先生もまた珍しいのに憑かれている。
椎名先生の傍らには烏天狗のクロスケがこちらをジトリと見ながら立っている。
このクラスだけで3人も妖怪憑きがいるのだ。
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