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「能力なしでは勝てそうにありませんね」
リオレスが槍を地に立てて呟いた。
「くく…。能力を使わずに私に勝とうとは…。
流石伝説の英雄は言うことが違うね」
ジンは冷たく笑いながら呟く。
「伝説なんかじゃないですよ。
ただ必死に生きていた。
過去の偉業などその結果でしかありませんよ」
リオレスは槍を持ち上げ、胸の前で横にして構える。
「仲間を守るために、ただ必死にもがいていただけ」
淡々と語るリオレス。
その赤い槍は次第に黒い魔力が包んでいく。
「そして…今もまた同じ」
赤い槍は、完全に真っ黒に染まった。
「ただ仲間のために闘う!!」
黒く染まった槍から、黒い魔力がリオレスの全身に放たれる。
「ほう…それが…」
珍しいものを見るようにジンが笑みをこぼす。
「聖術と対を成す古代能力、黒術です」
リオレスの全身には黒い魔力が覆われ、目つきも鋭くなっている。
「黒術…初めて見たぜ」
ジンは嬉しそうに笑みを浮かべた。
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