1486人が本棚に入れています
本棚に追加
クロスはそのまま指を揃え、手刀を蓮に向けた。
しかし蓮は振り返らずクロスの手刀を片手で受け止めた。
「ほう」
「できるさ、俺たちはそのためにここに来たんだからな」
蓮が手を離すと、クロスは後方に下がった。
「ふふ、なるほどなるほど。しかし蓮」
俯きながら笑っていたクロスがゆっくり顔を上げる。
「早く本気を出さないと、死ぬぞ」
「っ!」
言葉一つによる殺気に、蓮は一瞬寒気すら感じた。
(この殺気、魔力…。なるほど、魔界三本柱は伊達じゃないか)
心の中で呟く蓮の頬には汗が流れていた。
「確かにお前には力がある。今はまだ成長段階かもしれん。だが、いずれその力は人類の理想に到達するだろう」
「人類の…理想…だと?」
「そう、それすなわち、神の世界」
人なら誰でも望んだことはあるだろう。
『自分に力があれば』
力とは、人を自由にするもの。
神の世界はまさに人々の理想の最終地点だ。
最初のコメントを投稿しよう!