最終戦

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クロスはそのまま指を揃え、手刀を蓮に向けた。 しかし蓮は振り返らずクロスの手刀を片手で受け止めた。 「ほう」 「できるさ、俺たちはそのためにここに来たんだからな」 蓮が手を離すと、クロスは後方に下がった。 「ふふ、なるほどなるほど。しかし蓮」 俯きながら笑っていたクロスがゆっくり顔を上げる。 「早く本気を出さないと、死ぬぞ」 「っ!」 言葉一つによる殺気に、蓮は一瞬寒気すら感じた。 (この殺気、魔力…。なるほど、魔界三本柱は伊達じゃないか) 心の中で呟く蓮の頬には汗が流れていた。 「確かにお前には力がある。今はまだ成長段階かもしれん。だが、いずれその力は人類の理想に到達するだろう」 「人類の…理想…だと?」 「そう、それすなわち、神の世界」 人なら誰でも望んだことはあるだろう。 『自分に力があれば』 力とは、人を自由にするもの。 神の世界はまさに人々の理想の最終地点だ。
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