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「っ!」
部屋を出てすぐに脇腹を抑えるリオレス。
「蓮はどうだった?」
観覧席から降りてきた秦の声。
秦の後ろには他の守護者たちもいた。
「私が言わずとも見てて分かったんじゃないですか?」
笑みを浮かべて言うリオレス。
「あぁ。でも実際に闘って、そしてセシルを実際に知っているお前に聞きたいんだよ」
同じ神術を使うセシルと比較しての評価を聞きたい。
秦はそう言っているのだ。
リオレスは口元を緩めて言った。
「千年前なので力の向上など差は出ますが、今の蓮は間違いなくセシル以上です。そして…」
リオレスは抑えていた脇腹から手を放し、まっすぐ秦たちに向かった。
「この世界で最強の男になるでしょう。今の段階であの力です。恐らくあと十年もすれば…」
想像もつかないのか、リオレスは言葉を濁らせた。
しかしその表情は、未来を見据えたように笑みを見せていた。
「なるほど。だったら俺が蓮を選んだのは間違いじゃなかったんだな」
「えぇ」
リオレスと秦は、奥で蓮が倒れている部屋の扉に目を向けていた。
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