月並という名

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「大丈夫。ありがとうふみさん」 「………」 まさかリカちゃんから、このタイミングでお礼を言われるとは思わなかった。 あれからどれほどの時間が経ったのかまるで分からない。 でも、私はすっかり泣き止んでいた。 リカちゃんの言葉を受けて私は体を引いた。 リカちゃんも同様に。 伏し目がちではあるけど、リカちゃんの大きな瞳は真っ赤か。 言いたくはないけど、多少化粧が崩れている。 そんな心配もする余裕なく泣いてしまったということだろう。 私のドレスは………、まぁバレないかな? 「ふみさん、化粧………」 笑いを必死に堪えているのが分かる。 私も意識しないようにして耐えてはいたけど、リカちゃんのその声色を聞いてからは辛抱が効かなかった。 「リカちゃんだって結構ヤバいって」 それを機に私もリカちゃんも声を上げて笑った。 まさか、こんな展開になるだなんて予想もつかなかった。 でもこれは、リカちゃんが大人だったから。 私のように子供ではなかったから。 本当なら憎しみ、いがみ合っていてもおかしくない関係。 そうなっていないのはやはり、リカちゃんの強さだと私は知っていた。 「これで本当に友達。オッケー?」ゆっくりと立ち上がったリカちゃんは笑顔でこう言った。 私は化粧で崩れたことも忘れて満面の笑みを浮かべ、もちろんと答えた。
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