💠それでも君だけを愛してる💠

純粋な二人

「あなたにも分かるわ…。きっといつか、私がこうした事があなたにとって人生最高の良い選択だったって思える時がくるはず…。私があなたを嫌いになったってわけじゃないの。分かってちょうだい。私を困らせないで…。幸せだったじゃん、私達…。」

２年前の雪の降る東京で、華奢で雪のように真っ白な肌をした美女は辛そうに彼女を見つめる春樹をなだめた。
彼女は、春樹が初めて本気で愛した女だった。

「今でも幸せだろ？何で、いきなり別れ話するんだよ？！俺が何か傷つけるような事したか？！」

春樹は取り乱していた。
いつもは、クールな彼でさえ最愛の人からの別れ話には狂わずにはいられなかったのだ。

「春樹…。黙って聞いて。」

「黙ってるよ。昨日からずっと黙ってる！七海（ナナミ）が昨日から俺を無視するから！！ずっと、黙ってた！なのに、やっと口を聞いてくれたかと思えば、別れ話？意味分かんないよ！」

「春樹…お願い。聞いて。」

「聞いてやっただろ？もう十分だよ！！俺は七海と別れる気ないから！」

「病気なの！！！」

真っ白な息を吐きながら涙目でガンだと告白してきた最愛の彼女…。
春樹は、自分の耳を疑った。
嘘だと信じたかった。でも、七海は大粒の涙を流しながら無理して笑った。

「もう、助からないってさ！余命まで宣告されたの。長くはないんだ、私。春樹…、私は残りの人生を自由に過ごしたい。未練が残らないようにね。だから、春樹と別れる決心したの。」

「なんでだよ？俺も七海の側にいて支えになるよ！なんで、なんでも勝手に自分で決めるんだよ？！」

取り乱す春樹に七海は微笑んだ。

「だって、これは私の人生だもん。春樹の人生じゃない。私の物だもん。」

春樹は、言葉を失った。
もっとも愛した女から、捨てられるからだ。

「春樹。私が死んだら1年間は一人で生きて欲しい。1年はまだ私だけのものでいて？わがままなのは承知だよ。でも、最後のお願いだから聞いてくれるよね？1年経ったら、また他の誰かと恋に落ちて大恋愛して結婚して子供も作って…。幸せになってほしい。」

七海は、そう言って春樹の人生から姿を消した。
余命さえも教えてくれなかった。
それから、5ヶ月後共通の友人伝いで七海が亡くなった事を知らされた。
七海は、まだたったの21歳だった。