💠それでも君だけを愛してる💠

動き出す未来

そして、クラブやバーをはしごして、夏織との女の子らしい遊びも夜中の2時で終わった。

風香は、酔っぱらってフラフラしながらアパートに着いた。

そして、部屋のカギを探すためにフラつきながらバッグを逆さまにひっくり返して、全部地面に広げると、そのまま地べたに座り込んだ。

すると、突然部屋のドアが勢いよく開いた。

風香は、しゃっくりをしながらニッコリ笑った。

「ただいま～！」

酒臭い風香に鼻をつまんで春樹が地面に散らばってる彼女の荷物を慌ててバッグに詰め込んだ。

「何やってんだよ？こんな夜中まで！！！お前もう外出禁止！！！」

「はい？！！！あんた、何様？！」

「いいから、さっさと立てよ！竜生に見つかったら、俺絶対殺される。」

切羽詰まった顔でそう言うと、春樹はべろべろに酔っぱらった風香の腕を強引に掴んで無理やり立たせた。

「いた～い！！放してよ！変態！！！！」

風香が嫌がって春樹の手を振り払うと、そのままバランスをくずして倒れそうになった。

とっさに、春樹が風香を抱きしめて顔面から転ぶのを防ぐと風香はケラケラ笑いながら、春樹に抱きついた。

「抱っこ～！！！」

そう言って無理やり春樹に飛びつくと、春樹は気が抜けたように笑いながら、風香を軽々と抱っこして部屋に入れた。

そして、彼女をベッドまで連れていくと、春樹は笑い転げる風香を見て優しく微笑んだ。

そんな春樹の見たことのない笑顔を見て、風香は悲しそうな表情で彼の頭をなでた。

「あたしが、あんたの事守ってあげる…。」

「何言ってんだよ…。」

「あたしね…、決めたの。あんたが悲しい時はあたしが側にいてあげようって…あんたの顔見たら、自然とそう思えたの。」

春樹は、動揺してしまった。

「ねぇ、あんたが笑えるように、あたしが支えになってあげる。本気で誰かを好きになれるように、あたしが手伝ってあげるよ。」

春樹は、風香に頭をなでられながら優しい言葉をかけられ、泣きたくなった。

でも、涙はでてこなかった。

すると、風香が起き上がって春樹を抱きしめて彼の耳元でこう囁いた。

「あたし達、きっと良い友達になれるよね？」

すると、春樹は風香を抱きしめ返してこう囁いた。

「俺にとってお前は、もう特別な友達だよ…。」

そう言うと、春樹はより一層風香を強く抱きしめたのだった。