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「そういうアルはどうしてこの町に来たの?」
多少物思いに耽っていたアルは若干の間を置いてから此方を見た。あら、案外妄想グセあり?
「…あぁ。私はちょっと野暮用がもっと先に有るんだ…」
なんとも遠回しな説明…つまり、今はまだ旅の途中でここには特に用事がない。って事なのかしら?
「…つまり、ここは通り道?」
私はアルを伺いつつ質問してみた。するとアルはニコリと笑って見せた…どうやらそんな感じ。って事らしい…って私は受け止めた。う~ん…やっぱりアル不思議系だわ…
「そうだフェレ。魔法は誰に習おうとしてるんだ?」
「うふふ~よくぞ聞いてくれました!」
そう言うと腰に着けていたカバンをゴソゴゾとまさぐり、一枚の紙を出して見せた。
「ルタ町の統治者にして一番の魔法使い!李(り)さんよ★」
私これでも色々調べたのよインターネットとか雑誌とか。まぁ結局調べてもなんだか嘘くさくて確信持てず…それでなんとなく聴いたじいちゃんばあちゃんが『ルタの李さん家の魔法はよく効くんじゃよ』と一言。それで調べてみたら確かに評判もいいし、実績もいい。そしてなにより実際手当て受けた人のコメントあり。って事が決め手だった…そして調べた集大成がこの一枚の紙。兎に角一度会ってぜひとも弟子入りしたい!
「…あのフェレ…燃えたぎってる所申し訳ないんだが…」
私が出した紙を眺めていたアルが困ったような顔をして私の方を見る。
「この…李氏なんだが…外部から弟子を取らないって書いてあるぞ…?」
ほらここ。と紙の一部を指差した。私も指を辿ってそこを見てみる………あっ。
「あぁぁぁ!!本当だ!!!!弟子とらないって!!!」
何このイージーミス!!バカバカもぅ!!間抜けすぎでしょ私っ!
砂漠を頑張って渡り、ここまで来たと言うのに、目的を果たせないとか……で、でも…弟子は取らないってなってるけど、一生懸命頼んだら行けるかも…そうよ、やらないで諦めるよりやってみてくだけたほうがましよね!!
そんな心の葛藤の途中ふとアルを見ると…アルが口を押さえて笑いを堪えている姿が目に入った。
「ちょ、ちょっと!!笑い事じゃないのよ!てか、なんで笑ってんの!」
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