自重なんてティッシュと一緒にゴミ箱へ捨てちまえ

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  「うがー……」 全力の土下座によりお説教とお仕置きを免れた神月 ハヤトは、自室のベッドに倒れ込んでいた。お説教とお仕置きは免れたのだが、部屋から出ることを禁止されたのだ。まあ、禁止にされたと言うよりは、出ないようにしろと言われただけなのだが。 『食事とかは持って行ってあげるから、部屋で温和しくしていなさい』 メイド長、十六夜 咲夜からそう告げられたのだ。従わない訳にはいかないだろう。 それに彼女、一応は心配してくれているらしかった。 「うががー……」 ただ、暇なことに変わりは無い。なので、てゐから貰った2種類の液体が入った小瓶について考察してみることにしたようだ。2つを手に取り、じっくりと観察する。 先ずは、最悪な見た目の液体が入った小瓶。 「不味そう」 次に、見た目はなんの問題も無い液体が入った小瓶。 「味とかしなさそう」 考察終わり。 いくらなんでも適当過ぎるとは思うが、小瓶越しに見た限りではその程度の事しか分からないだろう。試しに飲んでみれば良さそうなものだが、どのような効果があるのかも分からない薬を、好き好んで口にしたいとは思わない。とは言え、いつかは飲まなければいけない時が来る。何故だか分からなかったが、ハヤトはそう感じていた。 (まあ、そんなにヤバい物じゃないだろう。持ち出されたりしたらマズい物を、簡単に拝借出来るような場所に置いておくわけが無い) 適当に結論付けて、この件は終わりだ。 暇だ暇だと思っていたが、いざベッドの上に居るとなると、これまで疲労がドッと押し寄せてくる。 「今日は色々あり過ぎたな……」 その言葉を最後に、神月 ハヤトはゆっくりと目を閉じた。
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