君の温もり(ショートストーリー)

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「・・もう少しだけ・・こうしてて」 そう言った私の態度に葵は驚いた表情を見せていたが座りなおして私が掴んだ手とは反対右手で私の髪を撫でた。 『ん、お前が望むなら幾らでも。でも薬はのまねぇとな』 力のない私の手から葵の手はすり抜け葵の行動を視線で追うと私の為に用意していた錠剤を自分の口に含みグラスの水を続けて飲むとそっと指先で私の唇をなぞる、それを合図のように 私は双眼を伏せ唇を少し開くと温かくて柔らかな感触が唇を伝いそして舌先に冷たい水が触れ錠剤が一緒に押し流され喉を鳴らす。 唇に当たるその感覚が離れていくと私は双眼を開いてそのまま視線を葵に移すと葵は私の唇の端に残る水滴を指先で拭いとり自分の唇の端の水滴も同じように指先で拭った。 『居るから。少し寝ろ』 そう言いながら左手の甲で私の右頬を撫でる葵に頷き私は優しい声、安心感を与えてくれる温もりに包まれながら意識を手放した。
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