上峰図書館

3/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 数多の書物を蔵し市の知識庫として住民に重宝される上峰図書館。  二階建て図書館の一階は文字通り大量の書物が棚に籍をおいている。    そして特徴的なのは二階全てを利用し作られた読書スペースである。  市民に愛される理由の一つに、お堅いイメージのある図書館の中で飲食が可能となっている。  勿論、一階に関しては全面的に禁止なのだが、二階には飲食を提供するカフェが内接されている。    それに合わせたように洋風な内装になっているのだ。  オシャレで飲食が可能な図書館。これが読者好きに好かれないわけがない。  加えて、態度の悪い利用客がいない理由として、飲食の際に不慮の事で書物を汚した場合、全額弁償となるのがこの図書館最大のルールだからだろう。    そんな二階の読者スペース通称『カフェ館』の海側。眼下を一望出来る一面の窓。そこに背もたれのついた椅子が並べられている。  『窓ぎわ族専用』これまた洒落た名である。    そんな席の一角。  いつもの場所。  いつもの笑顔で。  いつものホットカフェオレを手に。  いつも一冊の本を読む。  そこに彼女はいた。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!