第三章。

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暫く無言で見つめてみれば、目の前の飲んだくれはグラスを再度揺らし小首を傾げてみせた。 「ん?…ああ、烏龍茶だから心配するなよ。」 苦笑いを浮かべてみせたマスターの言葉に素直に安心した。こんな時間から潰れられては開けられる店も開けることができない。右手でグラスを受け取った俺は、要求通り烏龍茶を入れて渡した。 「さんきゅ…ああ、それとさ。」 「はい?」 グラスの液体は一気に1/3が消え去っていた。その事からも昨日大分飲んだであろう事が伺える。 「今日からフードメニューちょっと変えようと思うんだけど…」 刹那の間に表情が変わる。仕事の時は店を切り盛りする店長としてやはり真面目なのだ。 マスターの方へ身を乗り出し、こちらも真面目に耳を傾ける。開店時間まではもう幾許もなかった。幸い開店の準備はもう済んでいる。外ももう暗くなっているだろう。 今日もいつも通りの日が始まろうとしていると、その時の俺は思っていた。『OPEN』の札を取り、ドアノブに手をかけた。このドアを開け、『非日常』が現れるなど露も知らずに。 今日も戸は開く。 .
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