第四章。

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開店直後のあの手の空いた時間から三時間は経っただろうか。 週末という事も手伝い客入りはそれなりだ。布越しに聞こえる賑やかな声。間を割いてベルの音。 新しく入った客の人数を、のれんを小さく捲り確認する。男女の四人組みだ。 直ぐに裏に戻りつきだしの準備をする。今日のつきだしは鮭の南蛮漬けだ。余談だがこれはマスターが作っているらしい。まぁそこはどうでもいい。 盆にのせたつきだしを手に表へ出れば、声の通り客席の八割りが埋まっていた。既にマスターが用意していた箸と菓子を取りボックスに座った四人組みへと持って行く。 「いらっしゃいませ。お飲み物は?」 まだ日付が変わる前だと言うのに既に出来上がっているのか。女の甲高い声が癇に触る。男の馬鹿みたいなテンションも見ていて溜め息が出そうだ。 合コンの帰りだというどうでもいい経緯と注文のドリンクを書いた紙を手にカウンターに戻った。 .
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