第二章。

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もしも世界に根底があるならばこんな所なんだろうか。 右も左も上も下も何も判らない。 下が解らないなら、ここはまだ底ではないのだろうか。 ならばここより下はどうなっているのだろうか。 そんな思考すら闇に呑まれていく。全てが闇に呑まれつくされ、暗闇と相対するように俺の頭の中が真っ白に成る時。『奴』は現れる。 「……」 「……」 目の前に立つ『奴』の正体は解らない。何歳なのか、何人なのか。男なのか女なのか。そもそも、人間なのか。 頭から長く広いマントの様なものを被り顔は愚か体型すら解らない。暗い闇の中で何故『奴』だけ眼に映るのか解らないが…そんな事は今更どうでもいい。 そろそろだ。 「…其所にはもう一人、別の誰かがいる…」 頭に直接投げ込まれ、強制的に刻み込まれる詞。直後に遠く遠く、遥か彼方から光が射し込み始めた。 .
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