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高層ビルの駐車場に一台の車が止まる。
車からゆっくりと降りてきた男は怠惰そうに目を細めて空を見上げた。
まだ夜が明けたばかりの薄暗い空は、淡く月と星が輝いている。
季節はもう冬。
星が綺麗な季節だ。
天に昇る白い息を無感情に見つめると、ビルへと足を向けた。
ビルはこの一帯で最も高い。
建設当初は一躍有名となり人々の興味感心の的となっていた。
「…全く忌ま忌ましい」
そう呟くと、男は勝手知ったる様に中へと入っていった。
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