613人が本棚に入れています
本棚に追加
「動物はちょっと…得意じゃないんですが」
「殺しちゃうからねー。だからこの人に近寄っちゃ駄目だよ。殺られるから」
無駄に笑顔で犬の頭を撫でる沖田。
動物嫌いの癖に触れるなんて詐欺だ。
嫌みだなぁと思いつつも、妙に否定出来ない言葉に曖昧な笑みを浮かべた。
「迷子ですか……野良ではありませんか?病気をつけられるかもしれませんよ」
「野良だったら飼おうぜッ!」
「阿呆がなんか言ってる」
良いことを思いついたみたいに目を輝かせ、どうだといった自慢げな顔でぐっと親指を立てる原田に、永倉は片方の顔を覆い隠して嘆息した。
「名案みたいに言うな。簡単な話しじゃないんだぞ」
「よーしよしよし。可愛いなーお前うへへへ」
すっかりでれきった顔をした原田はぐりぐりと犬と額を擦り合わせる。
「おい左之、」
「いいかーヘイスケ。ぜってー奥に入んなよ。こえー副長達がいっからなぁ」
「おい聞いてんのか手前ぇ。て言うかヘイスケって…」
「そっくりじゃねぇ?!雰囲気といい“迷子”といい。まさに平助そのものじゃねぇか」
原田は“ヘイスケ”と一緒に永倉に対して尻尾を振るような嬉しそうな顔をする。
最初のコメントを投稿しよう!