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「き、きょくちょ、いったい何時から」
裏がえる声に、はて、なにか怯えさせるような事をしただろうかと首を傾いだ近藤は、原田が大事そうに抱える小動物を見て目を和ませた。
「随分と可愛い子を抱えているじゃないか。どれ、一つ俺にも触らせてくれ」
太い両腕を差し出されて、原田は恐る恐るヘイスケを渡す。
ヘイスケは怯える事もなく近藤の指をペロリと舐めた。
可愛いなぁと呟きながら、満面の笑みを浮かべて頬擦りしたりと戯れる姿に、壱帷と沖田は恋する乙女のような溜め息をついた。
「羨ましい」
「羨ましい」
そろう声に永倉が(変態か手前ぇら)と思ったのは内緒だ。
「近藤さんは犬がお好きなんですね」
「いや、俺は猫派だ」
「ですよね!ふっ。阿呆だな君は!僕も断然猫派かなぁ!」
ドンと壱帷を押し退けて近藤に好印象を与えようとする沖田。
動物嫌いな癖に!
壱帷に青筋が浮いた。
瞳が不機嫌そうに揺れる。
「ともかく、ソレは此処には置けませんよ。さっさと処ぶ、」
「迷子か。可哀想になぁ。ここは一つ主人探しをするか」
「ですよね!私もそうした方が良いと思っていました。流石近藤さん!」
「君今処分って、うぐっ!」
腹に壱帷の渾身の一撃を喰らった沖田はうずくまった。
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