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かくして、“ヘイスケの主人を捜す集い”の壱帷、近藤、沖田、永倉は外出する事となったのだが。
「やっぱりオイラは反対っすから」
ぶすくれた原田が大事な宝物を守るようにヘイスケを抱えて先を行く一行に抗議した。
「ヘイスケの事を思うんだったらウチに置くのはよせ。面倒みてる余裕もないし、あそこはいい人だけじゃねんだぞ」
腕組みをして飽きれ顔で振り返る永倉に、原田は涙目で睨み付けた。
「オイラがいる。ヘイスケはオイラが守る。独りになんか、追い出すなんてさせん」
「ヘイスケがそれを望んでるって言えんのか?」
「小動物を愛して何がいけねんだよバカ!」
「自我なんてたかがしれてんだよ!」
「鬼か!?コイツが可愛くねーのか!」
「誰がんな事言ったよ!」
二人の喧しいやりとりに沖田は耳を塞ぐ。
その隣で肩を震わせて笑う壱帷に気づいて目をやると、意味合いが分かったのか壱帷がにやりとする。
「藤堂さんに変換すると、なかなか面白いことになるもので」
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