第二章

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うちは皆でホットケーキを 必死に焼いていた。 必死といってももちろん語りながら。 うちは喋らない、という行動が とても苦手なことだから。 教室の中はプレートの熱でムシムシして その日は気温も高いという事もあり 窓を全開にしていた。 うちはホットケーキの素が 少なくなった事に気付き焼くのを頼み 小麦粉、卵、牛乳を混ぜて作っていた。 その時だった。 中庭の奥の方から走ってきたあの人。 いきなり開いていた窓から ひょこっと顔を出し笑っていた。 あ…、奈々(仮名)を呼ばなきゃ。 奈々とは前夜祭のときに あの人と手を繋いだ子。 うちは、あの人が奈々に用事が あると思って急いで呼んだ。 奈々を呼んだら、あの人は1度だけ 軽いお辞儀をしてまた微笑んだ。 うちはこの時、改めて感じた。 あの人が好きなんだってこと。 -
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