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うちは皆でホットケーキを
必死に焼いていた。
必死といってももちろん語りながら。
うちは喋らない、という行動が
とても苦手なことだから。
教室の中はプレートの熱でムシムシして
その日は気温も高いという事もあり
窓を全開にしていた。
うちはホットケーキの素が
少なくなった事に気付き焼くのを頼み
小麦粉、卵、牛乳を混ぜて作っていた。
その時だった。
中庭の奥の方から走ってきたあの人。
いきなり開いていた窓から
ひょこっと顔を出し笑っていた。
あ…、奈々(仮名)を呼ばなきゃ。
奈々とは前夜祭のときに
あの人と手を繋いだ子。
うちは、あの人が奈々に用事が
あると思って急いで呼んだ。
奈々を呼んだら、あの人は1度だけ
軽いお辞儀をしてまた微笑んだ。
うちはこの時、改めて感じた。
あの人が好きなんだってこと。
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