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それは赤木のいるクラスでの初めての授業のこと―――
-キーンコーンカーンコーン…
チャイムと共に扉を開けた。
そして俺はクラスの生徒を見渡した。そして地味でもなく派手でもない生徒がすぐに視界に入った。
でも、その生徒の笑っていた笑顔が目蓋に焼き付いて取れなくなった。
―――ナンナンダコレ
「はい、授業始めます。」と俺が言うと日直が号令をかける。
「きりーつ。きお付け。礼。」
『お願いします。』
そして、俺が教台に目を落とすと座席表を見つけた。俺は咄嗟にあの目蓋に焼き付いて取れなくなった生徒の名前を探した。
《赤木葵か…。》
そんなことを思っていると俺はいいことに気が付いた。
「はい、じゃあ出席とります。あ、その前に、みんな俺の名前覚えてくれてるよなぁ?はい、じゃあ、フルネームで。赤木さん!」
俺が考えたいいことと言うのはこのことだった。赤木とも喋れるし、俺の名前を覚えてくれているかも分かるし。
「えーと…」
もしかして知らないのかぁ?
俺はガックリと肩を落とした。
ってか、俺はなんでこんなに落ち込んでるんだ?
俺はこのときに赤木に一目惚れしたんだと気が付いた―――
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