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真夏日。
少年が一人、自動販売機でジュースを買おうとしていた。
転がり落ちてきた缶に手を伸ばしたとき、鈍器で後頭部に痛烈な一撃を喰らった。
彼が攻撃的な性格だったら、同じ打撃を相手に返してやろうと思ったところだろう。
しかし、彼は温厚な性格で、その上、報復ができるような状態ではなかった。
時々閃光が走る暗闇の中、きなくさいようか臭いを鼻の奥に感じながら、意識とは関係なく肉体はふらついていた。
うなじが血で赤く光り、着ているTシャツの襟首をじんわり赤褐色に染めている。通行人が通り掛からなかったなら、彼はそのまま息を引き取っていただろう。
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