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「硬貨を投入口に入れてさ、ボタンを押して缶を取出したんだ。まるで、訓練されたサルを見ているみたいでさ、俺もその中に含まれているって考えたら怖くって、消さなきゃだめだって思ったんだ。訓練から抜け出さなきゃって、ふっと思ったんだよな。あいつ、死んだかもしれない」
時々、はち切れたばねのような行動をする人間がいる。今の少年はまさにその状態だった。
しかも、彼の中でその基準は正当なものと化しつつあった。
「狩りをしよう」
使い古された手段に、彼の取り巻きは眉をひそめた。
その文字は安易で、神聖さの欠けらもない。
だが、少年の目の前には荒野の中に点在する狩るべき対象を認め、それが無限に増殖していくさまを夢想し、押しつぶされそうになるのを必死に奮い立たせようとしていた。
---駄目だ。
近いうちに、奴は押し込められ、早々に人生の貧乏くじを引くことになるだろう。
狩りなんて。
もっとうまいやり方があるはずだ。
自分たちは安全圏にいたまま、世界の片隅を密かに書き換えるような、後には、素知らぬふりをしてレールの上を歩いていけるような何かが。
少年を残して、群れていた仲間は去っていった。
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